和歌山地方裁判所 平成3年(わ)290号 判決 1992年2月17日
本籍
和歌山県東牟婁郡太地町大字太地三六一三番地
住居
同町大字太地四二〇六番地
鯨肉仲買業
庄司喜茂
昭和一三年一一月二九日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官寺本茂夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金四〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、和歌山県東牟婁郡太地町大字太地四二〇六番地の自宅において、鯨肉仲買業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て
第一 昭和六二年分の総所得金額が一一五、〇八六、八七六円であり、これに対する所得税額が六〇、八二四、四〇〇円であるのにもかかわらず、昭和六三年二月二九日、和歌山県新宮市伊佐田町二丁目一番地の二〇所在の所轄新宮税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が三、九四二、七五二円で、これに対する所得税額が三五三、五〇〇円である旨内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税六〇、四七〇、九〇〇円を免れ
第二 昭和六三年分の総所得金額が一〇五、三三六、六三八円であり、これに対する所得税額が五三、四三七、六〇〇円であるのにかかわらず、平成元年三月九日、前記新宮税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、七三二、九一〇円で、これに対する所得税額が六四、一〇〇円である旨内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税五三、三七三、五〇〇円を免れ
第三 平成元年分の総所得金額が一〇一、二三六、一二一円であり、これに対する所得税額が四五、九三三、五〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月三日、前記新宮税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が三、二〇一、〇三四円で、これに対する所得税額が一九五、四〇〇円である旨内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税四五、七三八、一〇〇円を免れた
ものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官(二通)及び大蔵事務官(三〇通)に対する各供述調書
一 検察事務官及び検察官作成の各報告書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書四六通(検甲第一〇、第一一号証、第一三ないし第一八号証、第二〇ないし第二三号証、第二八ないし第三五号証、第三九ないし第四四号証、第四六ないし第五一号証、第五三ないし第五七号証、第五九ないし第六七号証)
判示第一、第二の各事実について
一 大蔵事務官作成の査察官調査書三通(検甲第一九号証、第四五号証、第五二号証)
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲第二号証)、証明書(検甲第五号証)、査察官調査書二通 (検甲第三六号証、第五十八号証)
判示第二、第三の各事実について
一 大蔵事務官作成の作成の査察官調査書(検甲第三七号証)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲第三号証)、証明書(検甲第六号証)、査察官調査書(検甲第三八号証)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲第四号証)、証明書(検甲第七号証)
(法令の適用)
一 罰条 所得税法二三八条(懲役と罰金とを併科)
一 併合罪の処理 懲役刑につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重判示第一の罪の刑に法定の加重)
罰金刑につき刑法四五条前段、四八条二項(各罪所定の罰金額の合算額の範囲内)
一 労役場留置 刑法一八条
一 執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 瀧川義道)